皆さんは、普段どのようにパソコンを操作していますか?おそらく、ほとんどの方が「マウス」を使用しているでしょう。
「何を当たり前のことを」と思われる方もいらっしゃると思いますが、実はパソコンの操作方法はもう一種類存在します。
一方で、ごく当たり前のことと感じられるかもしれませんが、実はもう一つのパソコン操作方法が存在します。それがCUI(Character User Interface: 文字UI)です。つまり、「パソコンに文字で命令することで操作する方法」を指します。
この記事では、「CUIとは何か?」という疑問にお答えし、「CUIで何が出来るのか?」を詳しくご紹介します。
CUIとは?
近年、AIの進化が著しく、Windowsには「Copilot(副操縦士)」と呼ばれる生成AIがデフォルトで組み込まれています。
生成AI、または「Generative AI(ジェネレーティブAI)」とも呼ばれるこの技術は、様々なコンテンツを生成できるAIを指します[1]。日本語で「やってほしいこと」を入力するだけで、必要な結果を返してくれるため非常に便利です。これからの時代には欠かせない技術となるでしょう。
そうした生成AIのように、実は「パソコンに命令して操作する」方法がどんなパソコンにもデフォルトで搭載されています。これは文字で命令するため、「Character-Based User Interface: 文字ベースUI」、通称「CUI」と呼ばれます[2]。
一方、皆さんが普段使用している 「マウスやタッチパネルでの操作」 は「Graphical User Interface: 視覚的UI」、通称 「GUI」 と呼ばれています[3]。
分かりやすく「上司が部下に何かを頼むこと」に例えると、
- GUIは逐一指差しで何をしてほしいかを伝えているようなもので、的確にやってほしいことを伝えられるが、その反面、時間がかかります。
- 一方で、CUIは口頭で何をしてほしいかを伝えているようなもので、効率的に情報を伝えることができますが、あらかじめ何をしてほしいかを考えなくてはなりません。
どちらも一長一短があり、状況に応じて使うべきものであり、どちらが優れているということはありません。にも関わらず、ほとんどのパソコンユーザーはCUIを使ったことはもちろん、存在すら知らないことが多いです。
CUIを使う方法
CUIを利用するには、「ターミナル」と呼ばれるアプリケーションを起動する必要があります。そこに命令を記述していくことになります。
Windowsの場合
Windowsをご利用の場合は、「Windowsキー」を押し、次に画面下の「すべてのアプリ」をクリックしてください。
その中から「ターミナル」というアプリを選択してください。
すると、以下の画面が表示されます。
Linuxの場合
Linuxの場合は、「Ctrl + Alt + Tキー」を同時に押すことでターミナルが開きます。詳細については、以下の記事を参照してください。
CUIで出来ることの一例!
ターミナルを開くことができましたが、「これで何ができるの?」と思っている方が多いかもしれません。そこで、最初に使った際に一番感動したコマンドを紹介します。それが「mkdir」です。
「mkdir」は、「make directory」の略で、新しいディレクトリ(フォルダ)を作成するためのコマンドです[4]。単に「mkdir フォルダ名」と入力するだけで、指定したフォルダが現在のディレクトリに作成されます。
> mkdir フォルダ名 # 指定したフォルダ名でフォルダが作成される
$ mkdir フォルダ名 # 指定したフォルダ名でフォルダが作成される
「これの何が感動するの?」と思うかもしれません。GUIでも右クリックからフォルダを作成できるからです。
では、何が優れているのでしょうか?CUIのmkdirが優れている点は、「簡単に連番のフォルダが作成できる」ことです。たとえば、以下のように入力すると、「01_任意の名前」から「10_任意のフォルダ」までの10個の連番のフォルダが一瞬で作成されます。
Linuxの場合は、以下のようにコマンドを記述します。
$ mkdir {01..10}_任意の名前 # 「01_任意の名前」から「10_任意のフォルダ」まで10個のフォルダができる
Windowsの場合は、少し長くなりますが以下のように記述します。
PS C:\Users\user\テスト> mkdir (1..10 | % { "{0:D2}_任意のフォルダ" -f $_} )
Directory: C:\Users\user\テスト
Mode LastWriteTime Length Name
---- ------------- ------ ----
d---- 2024/02/16 金曜日 15:16 01_任意のフォルダ
d---- 2024/02/16 金曜日 15:16 02_任意のフォルダ
d---- 2024/02/16 金曜日 15:16 03_任意のフォルダ
d---- 2024/02/16 金曜日 15:16 04_任意のフォルダ
d---- 2024/02/16 金曜日 15:16 05_任意のフォルダ
d---- 2024/02/16 金曜日 15:16 06_任意のフォルダ
d---- 2024/02/16 金曜日 15:16 07_任意のフォルダ
d---- 2024/02/16 金曜日 15:16 08_任意のフォルダ
d---- 2024/02/16 金曜日 15:16 09_任意のフォルダ
d---- 2024/02/16 金曜日 15:16 10_任意のフォルダ
これにより、一瞬で10個のフォルダが連番で作成されました。
このように、GUIしか知らないと右クリックを10回押さなければできないことが、スクリプトを書くことなくCUIで実現できます。使い方さえ覚えれば、非常に便利なことが分かるでしょう。
Powershellの連番作成に関して詳細を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
この記事では、両者の違いを説明した後、CUIで何が出来ることを紹介しました。
GUIでは簡単にできないことが、CUIでは一瞬で実現できることが理解されたかと思います。慣れてしまえばこれほど便利なものもありません。この機会に触れていただけたら嬉しいです。